転職を考えて、初めて見えてくるものがある
転職雑記 2017/4/27
ある日、関東で多くのパチンコホールを展開している企業で、統括店長をしているAさんから転職の相談がありました。転職の理由を聞くと、「今の世の中、出店したもの勝ちだと思うんです。今の会社に大きな不満はないのですが、全然新規出店しないので転職したいなと思いました」とのこと。
Aさんはとても落ち着いていて、話していても人あたりの良さを感じました。ただ、「本当に今のパチンコホールを辞めたいのかな?」と思うこともしばしばありました。転職のお手伝いが始まった当初は、「何か」を心に秘めているように感じてしまうような言葉じりと、雰囲気が気になっていました。
1.無事に内定を得るも・・・
Aさんのパチンコ業界での店長としての経験は豊富で、書類選考をした求人企業はすぐに面接をしたいと言ってくれました。Aさんは、現在働いているパチンコホール企業に退職の意は伝えずに転職活動を進めていたので、休みを取って求人企業の面接に行く日々が続きました。
エリアは埼玉という希望が強く、なかなか紹介できる求人が少ないことがありました。しかし、その中でも希望に近いパチンコホール企業を紹介していき、選考は順調に進み、内定が出ました。年収や福利厚生などの条件も求人企業より提示され、より入社が具体的になりましたが、Aさんの反応は今ひとつでした。
内定が出たパチンコホール企業の条件はAさんの希望に近く、今と同じ店長としての採用だったので、反応がよくない理由が分かりません。気になるところがあるとすれば、転職活動をスタートした当初に感じていた「本当に辞めたいのか?」というポイントでした。そこで私は、「今の上司に、転職についてご相談してみてはいかがですか? もちろん、このまま入社することは簡単ですが、楽しく仕事ができる環境を選んでいただいた方がAさんにとって幸せだと思うんです」と伝えました。すると、Aさんは、「そうですよね。相談してみます!」と言い、少し明るくなったように感じました。その様子を見て、何となく心の奥で引っかかっていたものが取れた気持ちになりました。
2.内定辞退を決断
1週間後、Aさんから内定辞退の連絡がありました。「やっと、上司に相談できました。ありがとうございます。まだ、現在のパチンコホール企業に対する不安は除けませんが、もう少し頑張ってみようと思います。ありがとうございます」と、Aさん。私は、「やっぱりそうだったか」と心のどこかで納得していました。そして、Aさんは、「次に、転職となったら、ぜひまたお願いします。今回のように、利益にならないような話でもしっかりと話してくださる方だと、信用しています」と私に言いました。
転職支援サービスというのは、転職が決まることで成立します。しかし、それだけではなくその人の人生にとってより良い転職をサポートするのが、社会的な役割でもあるのです。
3.転職を考えたから見えること
長くひとつの会社にいると、日々の業務がマンネリ化しがちで、「これを提案してもどうせダメだろうな」「どうせ、この会社はこうだから」……と、どんどん悪い方向に考えてしまうようになる場合があります。また、楽な方、楽な方に気持ちが逃げてしまうようなこともあるかもしれません。
でも、このように「新しいスタートを」と考えて行動したときに、今の会社との関係を改めて考えなおし、現状と「真正面から向き合う」こともできます。これを乗り越えたときに、本当の意味で新しいスタートに立てるのでしょう。
4.まとめ
同じ会社でずっと働いていると、あるときふと思い立ったように転職をしたくなることがあるでしょう。もちろん、そのままの勢いで転職してもいいのですが、まずは一旦冷静になってみる方が良いのです。
考えた結果、「やっぱり現在のパチンコホール企業に残る」ということになったとしても、「何となく」の気持ちで転職するより、ずっと次に繋がる選択だと思います。「何となく」で転職をしてしまうと、転職が多い人生になってしまうことも考えられますから、一度きちんと考えてみることが大切です。
このように、転職を機に、見えてくるものもあります。「転職をしよう」という思いは、結果的に転職をしなくても、無駄ではないのです。