ゲインロス効果|マーケティングに役立つ行動心理学
パチンコ店の仕事・スキル 2020/6/16
不愛想で近寄りがたく、他校からも恐れられる一匹狼のヤンキー君が、と或る日、小雨が降る中にも関わらず道端に捨てられた子犬を抱きかかえ、優しい笑顔で語りかけながら頭をなでていた。
この「意外な一面」を偶然見てしまった生徒会長さんは一瞬で恋に落ち・・・、一昔前の少女漫画でよくみた典型的なシチュエーション。
これこそまさにゲインロス効果です!
「ゲインロス効果」とは、人の印象においてプラス・マイナスの変化量が大きいほど、影響を与える度合いが大きくなる心理的効果のことです。意味としては英語の「ゲイン=利益(プラス)」「ロス=損失(マイナス)」から来ています。
人に与えているマイナス的な印象をプラス方向に裏切ると、ものすごく評価が上がるわけですが、これを今風に表現すると「ギャップ萌え」あるいは「ツンデレ効果」ともいえるでしょうか。
例えば
・社内でぼーっと冴えない●●君が現場だとテキパキしていた
・普段男勝りな●●さんのエプロン姿がすごく可愛かった
・寡黙な●●君がプライベートでは陽気で面白い人だった など
逆に、人に与えているプラス的な印象をマイナス方向に裏切ると、ものすごく評価が下がります。
例えば
・まじめな生徒会長がイジメの主犯格だった
・勇者様ご一行が魔物とつながっていた
・警察官が違法薬物の売人だった など
つまり、「受けた印象と実態の矛盾」や「ビフォーアフターの変化量」、即ちギャップが大きければ大きいほど、その後に得る効果もより大きくなるということです。
恋愛の心理作戦としても良く使われるこの手法は、マーケティングでも絶大な“魔力”を発揮させることが可能ですが、最大限に活かすには最初にしなければならないことがあります。
それは「自店分析」です。
自店の状況を考察し、プラス面、マイナス面を把握、「ユーザーからどう見られているか、どのような印象(評価)を持たれているか」を抽出し「ロス」から「ゲイン」へ転じる作戦を考えていきます。
わかりやすい例としては「リニューアルオープン≒ビフォーアフターの変化量」があげられるでしょうか。
しかしながら、変化量が乏しい、またはマイナス面に変化が見られず、数日・数週間後にはリニューアル前よりもひどい集客状況になるという店舗を多々見てきました・・・。
「リニューアルオープン」という冠は期待感溢れる一大タイトルですが、明らかに「名ばかり」で回収を目的とするケースも・・・そのようなお店は足を運ばなくなりました。
また、客滞率という点では「QSCA」から考えると入り易いかもしれません。
Q・クオリティー(Quality):常に高品質の商品を提供する
S・サービス(Service):常に気持ちの良いサービスを行う
C・クレンリネス(Cleanliness):常に衛生的、清潔な店舗や環境を維持する
A・アトモスフィア(Atmosphere):常に店内でくつろげる雰囲気作りを心がける
これらが、現状どのように評価されているのか。その調査方法のひとつとしてミステリーショッパーがあげられます。
パチンコ業界はこの十数年、世間が抱くネガティブな印象・イメージと戦い続けています。
まさにロスからゲインへ転じるためコツコツと努力を積み重ねてきたわけですが、それでも、何かにつけてバッシングを受ける、ヤリ玉にあげられることは本当に多いです。
反社会勢力と繋がっていそう、怖い人が多そう、といったダークなイメージやクサい、汚い、キツイなどの仕事環境がブラックなイメージなどなど。
確かに否定できない時代もあったと思いますが、業界全体として健全化するために努力を行い変化してきました。
今後もさらに2極化が進むものと考えられますが、「こんなところに」、「こんな小さな店舗で」、「こんな古い店で」など、マイナス的な印象でも「ゲインロス効果」を意識した行動を行い、チャンスに変えていきましょう。