最近増えてきた裁量労働制とは
パチンコ転職ポイント 2021/1/14
転職先を検討するうえで求人票などに「裁量労働制」という文言をみかけることがあると思いますが、イマイチわかりにくいですよね。
平成30年1月1日から「改正職業安定法」(職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」)が施行され、採用する際の雇用条件通知に関して明記しなければならない事項が追加されたのです。
その中には「裁量労働制を採用している場合みなし労働時間を明示すること」も加わっており、裁量労働制の文言を見かける機会は確実に増えています。
裁量労働制について「見たことがある」「聞いたことがある」という人は多いかもしれませんが、その一方で具体的な内容については「わからない」という声をよく耳にします。
今回は、知っているようであまり知らない「裁量労働制」について確認してみましょう。
1.裁量労働制とは
「裁量労働制」は、労働基準法の定める「みなし労働時間制」の一つです。
仕事の進め方や時間配分を労働者各自の裁量に任せ、実際に働いた時間ではなく、「労使協定で定めた時間」を労働したものとみなす制度です。
例えば1日の「みなし労働時間」を8時間と定めた場合、その時間を超えて働いたとしても「8時間働いた」とみなされ残業代は出ません。逆に、それ以下の時間しか働かなかったとしても、少ない時間分の賃金が控除されることもないのです。
所定の成果さえ上げれば、実労働時間が短くても正当に評価されるところが大きな特徴と言えるでしょう。
ただし、裁量労働制はどんな業務にも適用されるわけではなく、適用される業務は「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があり、それぞれ対象となる業務や要件が異なります。
2.専門業務型とは
(1)新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学、自然科学に関する研究の業務
(2)情報処理システムの分析又は設計の業務
(3)新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務
(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5)放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6)広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務
(7)情報処理システムを活用するためのシステムコンサルタントの業務
(8)照明器具、家具等の配置に関するインテリアコーディネーターの業務
(9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10)有価証券市場における証券アナリストの業務
(11)金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12)大学における教授研究の業務
(13)公認会計士の業務
(14)弁護士の業務
(15)建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16)不動産鑑定士の業務
(17)弁理士の業務
(18)税理士の業務
(19)中小企業診断士の業務
このように、専門的な業務が対象となっています。
3.企画業務型とは
適用されるのは企業における一定範囲の事務的業務で、主には「事業や運営に関する調査、分析、企画、策定」といった業務です。
業務の性質上、労働時間で成果を測ることが困難な業務に従事する場合や、労働者自身に業務の遂行方法や時間配分などの裁量が委ねられている場合に適用されますが、日々のルーティンワークは対象とされていないという点に注意が必要です。
このように、裁量労働制が適用される業務は限定的で、もし求人に裁量労働制をうたいながら「営業」や「経理」など明らかに対象外の職種が掲載されている場合は違法となる可能性大です。
その他にも実際の業務中に「何時までにこの仕事をやって」などと労働時間の指示をされたり、過重なノルマや厳格な締め切りが定められたりするなど、実態として裁量がない場合も同様となります。
4.もし転職を検討している企業が「裁量労働制」を採用していたら
もし転職を考えている企業で裁量労働制を採用していた場合は、面接でその内容をしっかり確認することをおすすめします。
確認するのは3点あります。
①対象の職種を確認
裁量労働制は対象となる仕事はが「専門業務型」と「企画業務型」と決められていますので、あなたが希望する仕事がその対象であるかを確認しましょう。
②求められる成果の確認
求められる成果の指標や内容について確認し、できるかどうかを冷静に考えましょう。
③「みなし労働時間」の設定を確認
「みなし労働時間」をどう設定しているのかも確認するべきでしょう。そして、その時間内で成果を出せるかを考えましょう。
裁量労働制は、各個人の生活スタイルに合わせて働けるためワークライフバランスの良い仕組みではありますが、依然として会社にとって都合の良い“定額働かせ放題”となっている例が多いのが現状です。
裁量労働制の職種で働く場合は、働き手に不利な制度になっていないか、事前に確認することが重要となります。