「御社」と「貴社」の使い分け
転職雑記 2021/1/26
履歴書や職務経歴書を書く時、あるいは面接などにおいて、相手の会社を表す言葉として「御社」と「貴社」を使います。また、自分の会社を指す「弊社」「当社」という言葉もあります。いざという時、「どちらを使えば良いのだろう?」と迷った経験のある人は意外に多いのではないでしょうか。
今回は、「御社」と「貴社」をどのように使い分ければ良いのかを解説します。
これまでなんなく曖昧にしてきた人は、ここでしっかり使い分けを確認して転職にお役立てください。
1.「御社」と「貴社」の違い
「御社」と「貴社」は相手の会社に使う敬称ですが、それぞれ使い方が異なり、明確な使い分けのルールがあります。
「御社」「御〇」→「おんしゃ」「おん〇」など「御(おん)」を使う場合は話言葉で使用
「貴社」「貴〇」→「きしゃ」「き〇」など「貴(き)」を使う場合は書き言葉(文章)で使用
つまり、面接などで企業担当者と会話をするときには「御社」(おんしゃ)、履歴書などの書類では「貴社」(きしゃ)を使用します。
これらは履歴書や面接だけでなく、普段のメールのやりとりや電話対応などでも使う基本的なビジネスマナーですので、必ず覚えておきましょう。
この他にも、企業や団体の中には「御社」「貴社」と使い方は似ていますが、違うパターンが多数あります。例えば「御社」や「貴社」は銀行や組合、学校法人などでは使用できません。
2.各団体で使用される呼称
他にどのような呼称があるのか、ご紹介します。
銀行:「御行」「貴行」
組合:「御組合」「貴組合」
学校:学校法人:「御校」「貴校」「御学園」「貴学園」
協会:「御会(御協会)」「貴会(貴協会)」
市役所:区役所:「御庁」「貴庁」
財団:「御財団」「貴財団」
病院:「御院」「貴院」
会計事務所:「御事務所」「貴事務所」
このように、相手の会社や組織形態の違いで呼称も変わるため、「御〇」「貴〇」の言い方も変える必要があります。相手先に合わせて変えられるように心がけましょう。
なお「御社」「貴社」は敬語なので、「御社様」「貴社様」という使い方をすると二重敬語になり文法的に間違いとなります。時には相手先に対して失礼になりますので気を付けてください。
3.「当社」と「弊社」の違い
「御社」と「貴社」よりも間違いやすいのものに、「当社」と「弊社」があります。
これは会社に所属している時に使う言葉ですが、自分の会社についてへりくだっている場合に使用します。両方ともほぼ同じ意味なのですが、ニュアンスに違いがあります。
「弊社」は、「当社」よりもへりくだった言い方です。相手が上の立場の場合や自分の会社を謙遜して伝えたいときに使います。一方で「当社」は単純に「自分の会社」と言う意味です。そのため、通常の会話で使うことが多くなります。
当然ですが、在職中に転職活動をしている場合は、所属している会社を「当社」「弊社」と表現することはありません。
面接では、在職中の場合は「現職では…」、すでに退職している場合は「前職では…」と使い分けましょう。
4.履歴書で「御社」と「貴社」間違えたら選考に影響する?
もし履歴書作成でうっかり「御社」と書いてしまったら、どうすれば良いでしょうか?
結論からすると、書き直すのが良いでしょう。
「御社」と「貴社」の使い分けは、ビジネスマナーの一つです。間違えたからと言って即不採用につながることはないかもしれませんが、他の候補者と比較された時に「ビジネスマナー」の観点で差が付く場合がありそうです。
職歴や実績で採用相応と判断されても、ライバルがいる場合にはビジネスマナーの練度がクローズアップされてしまうと、そうした初歩的なミスが致命傷になることもあり得るということです。
応募書類提出の前に、必ず事前のチェックを忘れないようにしましょう!