近年よく聞く「ダイバーシティ」とは?
転職雑記 2023/6/6
近年、何かと耳にする「ダイバーシティ」という言葉。働き方改革の柱のひとつとしても推進されています。
一方で「よく聞くけど、詳しくは知らない」とか「どこかの人気スポットだっけ?」などと勘違いされている方も。
今回は、「ダイバーシティ」の意味やビジネスにおけるダイバーシティの基礎知識から有用性などを確認したいと思います。
1.ダイバーシティとは
「ダイバーシティ」とは英語で「Diversity」と書き、直訳すると『多様性』という意味になります。
人種・性別・宗教・価値観など異なる属性を持った人々が、組織や集団において共存している状態を言います。
元々はアメリカの公民権運動から生まれた言葉で、人権問題や雇用機会の均等などを説明する際に使われていました。
しかし、近年はそこから発展して、ビジネスにおいて国籍、性別、年齢、障害等にとらわれず多様な人材を登用し活用することで、組織の生産性や競争力を高める経営戦略を実現することを指す言葉として認識されるようになっています。
2.ダイバーシティが注目される理由
経営戦略にダイバーシティが必要とされるのは、労働環境の変化や個人の価値観の多様化などいくつかの要因があります。
①労働力人口の減少
総務省によると国内の労働力人口は2008年をピークに減少傾向にあり、今後も労働力人口は減少するものと見られています。
そのため外国人をはじめ女性や高齢者、障がい者などの多様な人材の活用で労働力を補うことが、今後ますます必要とされています。
②ビジネスのグローバル化
海外に生産拠点を構えたり海外市場に進出したりするなど、ビジネスのグローバル化が進んでいます。
グローバル化には外国人材の活用は必要不可欠となるため、企業側は受け入れ体制を整える必要があります。
③価値観や消費ニーズの多様化
労働者の働き方やキャリアに対する考え方は多様化しています。
雇用形態にこだわらずやりたい仕事を求めて転職をする人も珍しくありません。
企業は人材獲得のためにも、ダイバーシティを実践して多様化する人材のニーズに応え採用力を高める必要があります。
3.ダイバーシティマネージメント
「ダイバーシティマネージメント」とは、国籍、性別、年齢、宗教などあらゆる差異を積極的に認め、その違いをビジネスに活かしていこうという行動のプロセスです。
その特徴は性急に結果をもとめないという点にあります。
これまでのマーケティング理論とは異なり、多様性に対応する選択肢の多さがダイバーシティマネージメントの特徴です。
即効性より永続性を目指すという新しいマネージメントの概念が、ダイバーシティマネージメントと言えるのです。
4.ダイバーシティ経営のメリット
ダイバーシティ経営は、以下のような効果が期待できます。
①イノベーション
多様な視点からの意見を活用することで、新しいアイデアやひらめきが生まれ、新商品やサービスを生み出しやすくなります。
② 競争力の強化
多様な人材が活躍する組織は、同質的な組織よりも環境変化に強いと言えます。
また、さまざまな人材の交流は従業員に刺激を与え、モチベーションアップの効果も期待できます。
③ 採用、雇用力の強化
多様な人材が活躍できる土壌を整備することは、企業の採用能力を高めることができます。
④ワークエンゲージメントの向上
従業員が仕事に対して感じている充実感や満足度を表す「ワークエンゲージメント」は、働く環境にも左右されます。
テレワークなど柔軟に働き方を選べる環境はワークエンゲージメントを高めますが、働き方を選べない環境ではワークエンゲージメントは下がる可能性が大きいと言えます。
⑤人材のリテンション
「リテンション」とは英語で「維持、保持」という意味です。
働き方に多様性を持たせることで、優秀な人材の流出を防ぐリテンション効果が期待できます。
労働環境を整備することが人材の維持、確保につながるでしょう。
5.ダイバーシティ2.0
経済産業省では「ダイバーシティ2.0 」を提唱しています。
ダイバーシティの新たな方向性を示すもので、中長期的に企業価値を生み出し続ける経営上の取り組みです。
経産省が中心となり2017年に策定、2019年6月には改訂版がリリースされました。
企業が実践するにあたっての「行動ガイドライン」も提示されていて、「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」を表彰する事業や、「ダイバーシティ2.0」に取り組む企業の選定も実施しているようです。