転職希望者の人柄が内定に繋がる
転職雑記 2017/9/5
今回は、地方でパチンコホールを展開している求人企業でのお話です。
このパチンコホール企業は、都心からかなり離れた場所にあります。仮に、東京都内に住んでいる転職希望者が面接を受けに行くとすると、時間も交通費もとてもかかってしまいます。そのため、転職希望者が面接に受けに来るとなったときは、このパチンコホール企業が、交通費を往復分負担しているのです。
「引っ越しを視野に入れて転職活動をしている」といっても、今の住居から時間がかかるような場所だと、面接の段階では気が引けてしまうこともあるでしょう。なので、面接の間口を広げるため、このパチンコホール企業では、交通費を往復負担しているのです。
あるとき、関東に住んでいる30代の店長・Yさんが面接を受けることになりました。
1.なぜか交通費が安いYさん
Yさんの面接には、私も同席しました。Yさんは特に大きな問題なく、面接を受けていたように見えました。
面接終了後、求人企業の採用担当者にYさんの印象を聞いたところ、「面接の印象は、決して悪い感じではありませんでした。ただ、少々決め手にかけるというか、「これ」ってものがなくて、少し悩んでいます」とのこと。Yさんの採用の合否について、悩んでいる状況でした。
しばらく採用担当者が悩んでいると、そのパチンコホール企業の総務の人が来て、「領収書から、交通費をお渡ししたのですが、どう考えても安すぎるんですよね。もしかして、片道分なんでしょうか?」と、私に言いました。「もしそうなら、往復分お支払いしますので、面接を受けた人に確認していただけますか」と。
2.領収書の真相
その場で電話にて確認を取りました。すると、Yさんは、「往復分の領収書を出しました」とのこと。それを求人企業に伝えると、「おかしいなぁ」と、採用担当者は首を傾げます。
まさか、交通費を安く言っても仕方がないので、どういうことなのかと考えていると、総務の人から、Yさんの最寄り駅を尋ねられました。それに答えると、「もしかして、新幹線を使わないで、電車でここまで来たんですかね?」と、驚いたような声で総務の人が言いました。
そこで、Yさんの最寄り駅から、求人企業の最寄り駅までの電車でのルートを調べてみたところ、まさにYさんが出した領収書通りの金額になりました。
Yさんは、新幹線を使えば1時間半で着くはずなのに、わざわざ約4時間半をかけて求人企業の面接に来ていたのです。その場では、Yさんの真意が図りかねたので、後日改めて話を聞くことにしました。
3.Yさんの真意
Yさんは、「面接を受ける会社に交通費を負担していただくので、せめて一番安いルートで行こう」と考えたそうです。
過去に何人か、この求人企業に紹介してきましたが、このような行動をした転職希望者は初めてでした。私も驚きましたが、もっと驚いたのは、求人企業の採用担当者です。面接を受ける企業が「交通費を負担してくれる」ということを知り、それに対して「何かしたい」と考えて行動したYさんに、求人企業の採用担当者は感銘を受けたようでした。
それまで、Yさんの面接の合否に求人企業の面接官はとても悩んでいましたが、この事実を知って、「内定」とすぐに決断しました。Yさんの人柄と行動力が、採用の合否を決めるポイントとなりました。Yさんの行動は、「評価してもらおう」と、狙ってできるようなものではありません。また、この行動をして、全部の企業が評価してくれるとも限らないでしょう。
今回は、Yさんの行動と、求人企業の評価ポイントがマッチし、内定に至った例です。
4.まとめ
多くの求人企業と転職希望者のマッチングの手助けを行ってきましたが、稀に、予想外の展開になることがあります。求人企業の採用担当者と転職希望者、人間同士のやりとりなので、そこでどんなものが生まれるのは、全てを予測することはできないのです。
しかし、初めから奇をてらった行動をすることは、オススメできません。「評価されたい」「何かしら目に留まればいい」などという思いから行った行動は、見透かされてしまうものです。「自分らしさ」を大切にし、しっかりと準備をして面接に臨むようにしましょう。