「有給休暇」でもらえる金額は?
転職雑記 2021/4/22
労働者にとって「有給休暇」は重要な労働条件の一つです。
付与される日数については「有給休暇」の仕組みで5パターンあることをお伝えしましたが、今回は有給休暇でもらえる金額決定の仕組みや、会社を辞める時に有給をどのように処理するのが良いのか、について考えてみます。
1.有給休暇の給料計算方法
有給休暇でもらえる「給料」はどのように計算するのでしょうか。実は発生する給料計算の方法は3種類あります。
自分の会社がどの方法なのかは会社の規定・就業規則を確認してみましょう。
①通常の賃金から算出
一番多いケースが時給と勤務時間から計算する方法です。
1週間や1カ月の労働日数、時間があらかじめ決まっている場合、有給取得する日の勤務時間×時給分が支払われます。
【事例】時給1000円で8時間勤務の場合
1000円 × 8時間 = 8000円
②過去3カ月の実績から算出
直近3カ月の平均賃金から算出する方法です。
過去3カ月の賃金総額から勤務日数を割り出すので、シフトに変更がある場合は金額も変わってきます。
なお、ボーナスや臨時手当があった場合は計算には含まれません。
【事例】3か月の給料総額が30万で合計勤務日数が30日だった場合
30万円 ÷ 30日 =10000円
③標準報酬日額から算出する
健康保険法によって、受け取っている給料を基準に段階的に定められた「標報酬月額」から日割り計算で支払い金額を算出する方法です。
ただ、アルバイトやパートの場合、健康保険に加入していないとこの方法は適用できません。
2.仕事を辞める時に残った有給休暇は…
仕事を辞める時、有給休暇が残っている場合があります。残っている有給休暇はどうしたらいいのでしょうか。
せっかくなら、有給分のお給料ももらって退職したいところです。
通常のパターンでは、社員やアルバイトなど雇用形態に関係なく、出社せずに「有給消化」として有給休暇を取得して会社を休みつつ退職するパターンが多く見られます。
原則論としては有給休暇の取得の申し出を会社側は拒否することはできませんので、余っている有給休暇の日数分を「在籍しているけれども有給休暇を取っている状態」にし、有給を消化して退職することが可能です。
ただ、制度としてはあっても有給消化しない場合もあるので、退職前に可能かどうか会社に相談してみましょう。
実は有給休暇には時効があり、付与されてから2年が過ぎると権利がなくなってしまいます。
スタッフの入社日がまちまちな時など、自分の入社日を覚えている人は少ないのではないでしょうか。
また、入社半年後の権利が発生した「基準日」を確認している人もなかなかいないでしょう。
ですので、有給休暇が「いつ発生したのか」「いつまでに使う必要があるのか」をきちんと把握しておかないと、会社を辞める時などにスムーズに有給を消化することができなくなってしまいます。
分からない時は総務課などで自分の有給休暇が何日残っているは確認できるので、慌てず問い合わせしてみましょう。
3.有給休暇が取れない場合も
基本的には必ず取得できる有給休暇ですが、実は例外的に取得できない場合があります。
それは会社が「時季変更権」を行使した場合です。
これは労働基準法に明記されており、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と規定されています。
例えば繁忙期などで社員に休まれてしまうと業績が下がったり、顧客に迷惑をかけたりするいう場合には、企業側は労働者に有給休暇取得の時期を指示することができるのです。
確かに「有給休暇」は労働者の権利ですが、取得には配慮が必要と言えるでしょう。
周囲のメンバーの業務状況や会社の業績、雰囲気などをきちんと考え、配慮をして取得するようにしたいものです。
4.「働き方改革」で5日の取得が義務化
「働き方改革」とは、厚生労働省が2019年に発表した定義によれば、「働く人びとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革」とされています。
そして関連法案の施行に伴い、2019年4月から年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員について、企業は年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務化されました。
これ以前は「年10日の有給を付与しなければいけない」と定められてはいるものの、「従業員が申請しなかったので取得させていない」ということに対し罰則規定がありませんでした。
現在は「従業員から取得申請がなくても有給を消化させる」ことが会社の義務となっていて罰則も規定されています。
なお、5日以上の有給休暇の取得は、取得時季を会社が指定する場合があります。時季指定をするタイミングについて法律上の定めは特にありませんが「従業員が自ら進んで有給取得した日数」と「会社が時季指定をして有給消化させた日数」の合計が5日以上であれば問題ありません。
また、有給休暇の取得の義務化の対象になる人は、正社員だけでなくアルバイト・パートでも以下にあてはまれば「義務化」の対象になります。
★週30時間以上勤務
★入社後3年半以上経過している週4日出勤
★入社後5年半以上経過している週3日出勤
(週2勤務の人などは義務化の対象外)
厚生労働省によると日本の有給休取得率は48.7%に留まっており、これは世界的に見て低い水準であるとされています。
改革がなされた背景にはこうした状況があり、労働者が権利を行使しやすい労働を整備することに国が本腰を入れ始めたと言えるのです。
年間休日数は、転職先を決める上で大切な指標です。
だからこそ権利をしっかり行使できるよう入社前に把握しておきたいものです。
求人情報に記載されている場合もありますが、中には全く記載していないケースもあります。その際は遠慮なく企業の採用担当者に確認をしておきましょう。