パチンコ業界の資格について
パチンコ店の仕事・スキル 2021/5/13
パチンコ店で仕事をするには、何らかの「資格」が必要でしょうか?
結論から申し上げれば「必要」です。
しかし、その必要性にはレベルがあり、パチンコ店における「資格」の必要性は、主にホール運営という現場レベルからになります。
順を追って解説しましょう。
1.風俗営業許可(風俗営業第4号に該当。以前は7号)の条件
パチンコ店は風俗業に分類され、「風営法」の規制を受けます。所管は警察庁ですので、まず所轄で風俗営業の許可を受けなければなりません。
ここで「人的な資格」が要求されます。即ち風俗営業の許可を受ける人は、以下をクリアする必要があります。
まず、申請人(許可を受ける人)自身と「管理者」、あるいは申請人が法人の場合は監査役を含む役員全員が以下に該当しないことが求められます。なお管理者は経営者を兼ねることもできます。
A 破産して復権していない人。
B 成年被後見人、被保佐人として登録されている人。
C 1年以上の懲役・禁固刑、風営法違反、その他法4条2項で定める罪に違反して刑に処せられた人で、その執行を終え、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過していない人。
上記に一つでも該当してしまうと許可は得られません。
要は破産や成年被後見人(平成10年以前は「禁治産者」)、刑事罰など、なんらかの制限が加わっている人には許可が下りないのです。
これら以外にも、
・店舗の所在地が風俗営業許可を取得できる場所であるかどうか
・風俗営業許可申請者は、風俗営業において使用する営業所の使用権限を有することを疎明する書面を公安委員会に提出する
・遊技機設置後の営業許可
などなど、運営者と店舗、および運営にはそれぞれ条件が課されており、パチンコ店の出店、運営にはそれなりのハードルがあると言えるのです。
2.管理者(店長等)の条件
風俗営業の許可を得る手続きにもある通り、風俗営業者は店舗を統括管理する者の中から「管理者」を選任する必要があります。そして前述のA、B、Cに該当する人は管理者になれません。
管理者は、経営者や従業員が法令を遵守して営業するために必要な助言を行わなければいけませんので、風営法を深く理解していることが求められます。
まとめると以下になります。
⑴ 風営法を理解して遵法営業を行う事
⑵ 各都道府県遊技場組合の取り組みを理解し地域店舗と協力しながら営業する事
⑶ 地域所轄と良好な関係を保ちながら営業を行う事
⑷ 視野を広く持って営業をする事
⑷については、競合店の状況、パチンコ業界における流行、中古台価格の変動などをいち早くつかむこと、条例の変更や行政からの指導に柔軟な対応をすること、視野を広げると同時に長期的な視野を持つことが大切です。
また、店舗管理者になるためには、取得しなくてはならない資格、受けておかなくてはならない講習が幾つかあります。
過去には店長、主任といった役職者が持っておくべき資格を持たずに店舗責任者を務めたことで、トラブルや問題が発生したケースもあります。
管理者の主な業務は以下になります。
・店舗内で業務が計画通り適正に行われているか
・営業所の設備が基準に適合しているか
・規定事項が記載された従業員名簿を適切に管理しているか
パチンコ店が法令違反を犯した場合は、「営業許可取り消し」「営業停止」「指導」といった行政処分を受けることになるため、管理者は常日頃から意識を高く持って業務に当たることが大切です。
なお管理者は、選任、設置すれば終わりというものではありません。
従業員などへの法令順守をなどの助言・指導を行うには、新しい知識や知見を身に付けていく必要があります。
そのため3年に一度、公安委員会が開催する6時間ほどの講習会を受ける必要があります。これを欠席すると「指示処分」を受ける恐れがありますので、講習は必ず受けなければなりません。
もし参加できない場合は、講習会開催の10日前までに公安委員会に対して参加できない理由等を記載した書面を提出する必要があります。
【定期講習】
⑴ 風営法の仕組みや禁止行為についてなど(約3時間)
⑵ 管理者の義務についてなど(約2時間)
⑶ 遊技場営業の管理について(約1時間)
1時限は50分ですので、50分の6時限となります。
このほかにも処分を受けた際に受ける講習もあり、こちらも同様の時間がかかります。
3.遊技機取扱主任者の資格
パチンコ店では、遊技機の適正な取り扱いを行うために遊技機取扱主任者を専任しなくてはなりません。
遊技機取扱主任者の講習及び試験は日本遊技関連事業協会(日遊協)が行い、パチンコ店の主要業務である新台入替作業は、取扱主任者の資格を持った人がいないとできないようになっています。
不備の無い遊技台を提供するためには取扱主任者の存在は必要不可欠であり、正しい知識を持つことこそが健全な営業にも繋がっていくのです。
<遊技機取扱主任者の業務>
遊技機取扱主任者とは遊技機と呼ばれるパチンコ台やパチスロ台を設置したり、保守・点検したりすることができる資格です。
特に遊技機の修理は法令順守が厳しく手続きに手間がかかるため、遊技機取扱主任者の存在は大変重要です。
当然、試験内容も遊技機の法令や実務内容が問われるほか、風営法や遊技機の規制や取り扱い方、設置、保守、廃棄台の処理など幅広い知識が求められます。
また、新台入替などでもこの資格が必要です。ホール担当者に「遊技機取扱主任者」の資格を取得する人が年々増えてきており人気の資格でもあります。
パチンコ企業に入社する前に取得する必要はありませんが、パチンコ企業で社員として働いていく上では重要な資格です。
4.防火管理者の資格
多数の者が利用する建物などは、「火災等による被害」を防止するため建物内の消防計画の作成や、防火管理業務の役割分担の作成、定期的な避難訓練の実施などが求められ、その責任者として「防災管理者」を置くことが義務付けられています。
パチンコ店も「多数の者が利用する建物」(特定防火対象物=不特定多数の人や避難困難者が利用)に該当するため、営業にはこの資格保持者が必要になります。また、有資格者は店舗所在地の消防署に届け出を出さなければなりません。
一定規模の防火対象物の管理者は、火災による被害を防止するために講習を受け、防火管理者の資格を取る必要があります。
防火管理講習は「甲種新規講習」「乙種講習」「甲種再講習」があり、甲種新規講習なら2日間(計10時間程度)の講習を経て効果測定(テスト)に合格すれば講習修了資格を得られます。
5.その他の資格
上記の他にも「パチンコ店舗管理者実務能力検定試験」(P能検)や、接客に特化した「サービスマイスター認定試験」など、スキルアップに役立つ資格や講座があるので、自分に合った内容の資格を得るチャンスがあれば挑戦してみるのも良いでしょう。
店長や店舗管理者の業務内容は多岐にわたっており、必要な資質や資格は実に幅広いものとなります。
そのため、キャリアアップをイメージする中でしっかり順を追って知識と技術を身に付け、必要な資格を取得していくことが大切なのです。
今回、ご紹介した資格・講習は、たくさんある資格・講習の中の一部です。
多くの会社で今回ご紹介した資格や講習を主任以上の役職者には受けるように指導をしています。
店長を目指している方は上記を参考にして今後のスキルアップに活かして頂ければと思います。