パチンコ店も注目するCRMマーケティング
パチンコ店の仕事・スキル 2021/5/20
IT技術の向上やスマートフォンの急激な普及によって、市場や顧客の価値観が大きく変化しましたが、それによって今まで通用していたテレビなどでのマスマーケティングの効果が低下しています。
そこで注目されているのが「CRM」です。
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」と訳されます。
顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指すマーケティング手法です。
それまでテレビを中心としたメディアが担ってきた不特定多数へのマーケティング手法では効果が上がらなくなった状況を受け、今度は顧客一人ひとりのニーズや行動を深堀することで売上を向上を計ろうとしているのです。
顧客の年齢、性別、趣味、嗜好から、苦情や意見などの履歴、購入履歴や利用実績などまで、ハイタッチによる情報を蓄積・管理し、個々の顧客に最適なサービスや商品を提供することで顧客満足度を高め、購買額の最大化を目指します。
実はCRMの考え方はけっして新しいものではありません。
個人にフォーカスした営業スタイルは既に江戸時代に利用されていた「大福帳」がありました。
近代でも置き薬など一部の業界で活用されていた手法であり、2000年代以降、インターネットの発達で顧客ニーズに合わせたOne to One マーケティングが改めてクローズアップされたのです。
1.情報の収集や管理も進化
CRMの基本である情報の収集方法は、これまで多くの企業が電話、メール、面談などのアンケートや営業マン個々の情報集約が一般的でしたが、そのままでは入手した顧客情報は整理されるまで時間がかかり、また情報ごとに違うシステムで管理されていることも多く、情報共有しにくい環境でした。
しかし、現在は社内に散らばっていた情報を共有化したり、情報化の手順を自動化するなど、デジタルによる顧客情報の収集が加速しています。
また、情報管理もこれまでは自社の専用サーバーにシステムを構築、社内ネットワークなどで情報共有するのが一般的でしたが、コスト面の負担が大きく、大企業などでしか利用されていませんでした。
しかし、近年はクラウド上のシステムを一定の料金を支払って利用するといった方法が一般化しており、初期費用の負担が少ないことから中小企業でも導入が進んでいます。
さらにCRMのシステム自体も、モバイルからのアクセスを前提としたものに進化しています。
企業はモバイルに対応したツールを利用することによって、いちいちパソコンを開くようなことをしなくても顧客との商談情報はもちろん、サンプルの写真や動画のデータなども即座に共有することができるようになっています。
一方顧客もスマートフォンやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスから情報を入力、発信できるため、その情報はリアルタイムなものとなります。
顧客やユーザーの情報発信が即座に利用できる環境は、企業側に情報管理システムの進化を促したのです。
2.ソーシャルメディアを徹底利用
そして近年急激なソーシャルメディアの普及は、個人と個人だけでなく企業と個人が直接会話することを可能にしました。
多くの企業がFacebookやTwitter、Instagramなどに公式アカウントを開設し、自らの発信はもとより個人と双方向に対話しながら自社の製品やサービスへのコンタクトを促すケースが増えてきているのです。
多くのフォロワーを持つインフルエンサーの活用も活発化しています。
また、ソーシャルメディアは個人情報だけでなく、個人が属するコミュニティーや友人関係までも顧客情報として活用できるメリットもあるので、ソーシャルメディアを活用することにより、より密接なカスタマーリレーションが可能になってきているのです。
3.パチンコ店でもCRMが加速
パチンコ業界でもCRMの活用は進んでいます。
機械の射幸性が下がっていく状況では従来型の集客手法は通用しません。
そこで新たな集客手法としてCRMが活用されるようになり、顧客の来店頻度や遊技時間の増加などが集客には欠かせない要素となっています。そのため従来以上に「顧客管理」が重要になっているのです。
「どのような遊技機を導入するのか?」「どのような設備やサービスを充実させるのか?」といった自店の営業戦略を考える上で、CRMによる顧客データがあれば様々な戦術を立案可能となります。
以前は従業員の記憶やメモなどで管理されていた顧客の詳細情報がデータとして統合され、顧客に合わせた最適な情報を載せたDMを送付したり、再来店時には好みに合わせたサービスを提供するといった施策に繋がっています。
特に現在主流となっているのが、会員データによる来店回数の管理です。
増減について確認し、変化が見られた際にはその原因について定量データや接客情報から追及することによって、顧客に合わせた最適なアクションを即時に取る店舗も増えています。
最新の顔認証システムを導入するパチンコ店もあり、会員管理システムの新たな方法として注目されています。
また、ソーシャルメディアでのコミュニケーション強化も進んでおり、顧客の投稿に返答してエンゲージメントを高めたり、意見を積極的に取り込んでサービスを向上する試みが広がっています。
4.データ管理も進化
パチンコ業界でも様々なデータ管理商品が登場しています。
例えばICカードユニットから利用客のデータを抽出し、顧客の動向を見える化するシステムや、特定の遊技機で遊んだ人数や個別の消費金額、各台での滞留時間などを数値化されるシステムなど、より細やかなデータの収集、管理を実現する機器も登場しています。
こうしたデータ管理によって顧客の動向をリアルタイムで把握し、その後の遊技機戦略や運用戦術の立案に役立てているのです。
また、スタッフの接客にもシステム導入が進んでおり、顧客とのコミュニケーションによって得られた情報をスタッフで共有する会員カルテを作成するなど、好感度の高い対応を実現させる取り組みも行われています。
このようにリアルな顧客情報をデータ化、共有することにより、より顧客の嗜好に合わせた最適な対応を実現するCRMマーケティングは今後もどんどん広まっていきそうです。