パチンコ業界にもNFTコンテンが登場
パチンコ市場規模・動向 2021/6/29
サミーはこのほど、NFTデジタルコンテンツ第一弾として「ツインエンジェルシリーズ」を販売することを発表しました。
同社はオリジナルコンテンツである「ツインエンジェル」の映像や音声などのデジタル資産をNFTコンテンツとして展開し、さらにこれを皮切りに今後も既存IPや新規IPでの活用を予定しているそうです。
さて、ここで出てきた「NFT」とは一体なんでしょうか?
1.「NFT」とは
これは「Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)」(非代替性トークン)の略で、「現実的に偽造不可能な所有証明書付きデジタルデータ」、もっと分かり易く言うと「ブロックチェーン技術を応用した偽造不可能で資産価値をもったデジタルデータ」のことです。
ブロックチェーン技術と言えば、暗号資産のBitcoin(仮想通貨:ビットコイン)が有名ですが、NFTコンテンツは、同じくEthereum(イーサリアム、イーサ)のブロックチェーン上で発行および取引されるもので、これまで資産価値があるとはみなされなかったデジタルデータに、絵画や貴金属などのような資産価値が付いたものなのです。
デジタルデータはこれまで、「電子透かし」などを入れる方法はあったものの、コピーや改ざんを直接防ぐ技術はありませんでした。
NFTはそうしたデジタルデータに資産価値を持たせることを可能にし、NFTコンテンツの売買市場が形成されたことにより、アート市場において注目を集めるようになっています。
NFT普及拡大のきっかけになったのが、2017年にEthereum規格の1つである「ERC-721」(Ethereum Request for Comments 721)がリリースされたことです。
今年になってデジタルアーティストBeeple(ビープル)の「The First 5000 Days」がクリスティーズで約6,934万ドル(約76億円)で落札されて一躍注目を浴びました。
Beepleの作品は2月にもNFTマーケットプレイスの「Nifty Gateway」でオークションが行われ、ドナルド・トランプ氏が草むらに伏せているデジタルビデオ映像が約660万ドル(約7億2000万円)で落札されています。
日本人でも世界的VRアーティストのせきぐちあいみさんのVRアート作品「Alternate dimension 幻想絢爛」がNFTオークションサービスのOpenSeaで約1,300万円で落札されるなど話題に事欠かない状況が続いています。
2.NFTの特性
ビットコインで知られる暗号資産とNFTはどちらもブロックチェーンから生まれたものですが、ビットコインが代替可能なトークンであるのに対し、NFTは非代替性トークンという大きな違いがあります。
どちらもブロックチェーンで生成されたものであり、その性質上偽造が難しいため価値を維持できる安全な資産として注目を集めているのですね。
さらにNFTにはビットコインとは違った大きな特性があります。
それは、2次流通によって手数料が入るなど、さまざまな付加機能をそのデータ自体に付与できる点です。
従来であれば、絵画などの価値の高い芸術作品は売買されるたびにオークション企業や画廊に手数料が入りましたが作家には収入がありませんでした。
しかし、NFTなら作者の手を離れても、「流通時に購入代金の一部を支払う」というプログラムを仕込むことできるのです。
さらには著者権管理を行う中間団体(たとえば音楽で言うとJASRACのような団体)が存在しなくても済むことになります。
セキュリティの高さや管理が容易であることから「仲介業者」がいらないという点もブロックチェーン技術の大きな特徴といえるでしょう。
3.まとめ
今後はブロックチェーン技術によって仲介業に大きな変革をもたらすものとされていますが、銀行や不動産など従来からある仲介業者(銀行等も手数料や管理料を取る意味においては仲介業とも言える)が扱う不動産や金融などの現物資産より、デジタルアートなどデータ資産に向いていると考えられており、その方面での変革が先行しそうです。
早くもパチンコ業界に登場したNFTコンテンツは今後もさらに増えていくことが予測されます。
展示会などで配布されたコンテンツに意外な値段が付く日が来るかもしれませんね。