パチンコ店舗数および台数2020年【都道府県別】
パチンコ市場規模・動向 2021/7/20
2020年のパチンコ店舗数は9,035店舗で、前年から約600店舗減少しました。
新型コロナウイルス感染の蔓延防止を目的とした行政や自治体からの要請に伴う休業や営業自粛、バッシングや生活様式の変化、改正健康増進法の施行に伴う屋内原則禁煙、集客力の強い遊技機の撤去や広告宣伝自粛など、来店を阻害する要因がこれでもかと言わんばかりに重なった1年だったと思います。
業績悪化、新規則機移行など経営難や先行き不透明感によるパチンコ事業撤退、店舗売却は2021年になっても続いている印象で、このまま進めば数年のうちに7,000店舗を切ることになりそうですが、市場規模からの“適正店舗数”の議論も出てきそうです。
◆店舗数および総台数:「遊技機設置営業所数および遊技機別備付台数」(警察庁発表)参照(店舗あたり台数 算出)
さて、全国平均を見ると、前年比で店舗数93.7%(9,639店→9,035店)、総台数95.4%(4,195,751台→4,004,611台)と減少し、その一方で店舗あたりの台数は101.8%(435台→443台)と増加しています。
小規模店舗が市場から減少していく中で新規店舗の大型化が進んでおり、1店舗あたりの台数が増加する傾向は今後も続くことは明らかです。
都道府県別のパチンコ店舗数では、トップは変わらず東京の730店(794店→730店。前年比:91.9%)ですが、減少数も64店と全国トップです。
以下2位大阪666店(712店→666店。同:93.5%)、3位神奈川497店(518店→497店。同:95.9%)、4位愛知492店(524店→492店。同:93.9%)、5位北海道463店(497店→463店。同:93.2%)の順になっています。
昨年から3位の愛知と4位の神奈川の順位が入れ替わっていますが微差でトップ5に変化はありません。
そして店舗数の少ない都道府県は徳島58店(64店→58店。前年比:90.6%)、山梨58店(63店→58店。同:92.1%)、鳥取60店(66店→60店。同:90.9%)、佐賀62店(64店→62店。同:96.9%)、富山63店(73店→63店。同:86.3%)の順となっています。
店舗数の減少率では、富山(前年比:86.3%)がワースト1位になりました。富山は昨年の73店舗から10店舗減と前年比で約13.7%も減っています。
次いで栃木(同:87%)、岐阜(同:90.2%)、三重(同:90.3%)、宮崎(同:90.5%)となり、昨年のワースト5(群馬、福島、大阪、奈良、鹿児島)から大きく変動しています。
なお、前年と比較し店舗数が増えた、あるいは横ばいの都道府県は無く、2020年は都道府県全てで店舗数が減少したことが分かります。
一方、店舗あたり台数を見てみると、全都道府県のうち台数減は6府県だけで、9割近くの県が台数増となっています。
トップは富山の579台で昨年に続き断トツで1位です。次いで三重の549台、愛知540台、福岡529台、佐賀524台の順。順位に変動はあるものの、昨年のトップ5と同じ顔触れとなりました。
反対に店舗あたり台数が減少したのは京都(前年比:98.4%)、山口(同:99.2%)、鹿児島(同:99.2%)、秋田(同:99.4%)、千葉(同:99.7%)、そして和歌山(同:99.9%)の6府県でした。昨年の10県より減少しており、大型店舗が増えていることを示唆する結果となっています。
▼パチンコ商圏ポテンシャル2020年【都道府県別】
◆商圏人口(20歳以上):「住民基本台帳 都道府県別 年齢階級別人口」(総務省)参照
(20代~50代人口割合および台あたり人口 算出)
パチンコ商圏ポテンシャル(20歳以上)については、まず商圏人口を見ると1位は東京11,681(千人)、次いで神奈川7,670(千人)、大阪7,366(千人)、愛知6,197(千人)、埼玉6,149(千人)の順になりました。
しかし、台あたり人口を見ると東京が41.5人で1位は不動ですが、以降は沖縄38.5人、奈良38.7人、神奈川36.7人、京都32.6の順になりました。
これは各都道府県の遊技人口のコア層(20代~50代人口)の割合と一定の連動性が見られます。
反対に台あたり人口の最小値は宮崎の15.3人で、以降、鹿児島、大分の17.3人、福井の19.8人、青森の20人の順で、昨年のトップ5からは青森以外は変わらずでした。
なお、商圏人口(20歳以上)は大都市圏以外の一部を除いてほぼマイナスになっており、大都市圏への人口集中の余波が見られます。
しかしながら、台あたり人口が前年より減少した都道府県は昨年の5県から2020年は0となり、全都道府県で増加となりました。
これは店舗数の減少による台あたり人口の増加が全国的であることを示しており、全国平均でも104.8%と著しい増加割合です。
当然、店舗数の減少率が高いところが台あたり人口の増加率でも上位に入っており、京都の108.7%を筆頭に熊本108.3%、群馬108.2%、東京107.8%、富山107.6%の順になっています。
▼最後に
コロナ以降のパチンコ店の売上推移、現状はどうなっているのか?
経産省が公開しているデータを元に算出、コロナ前の2019年と比較していくと以下のような数値となりました。
※【経済産業省】特定サービス産業動態統計調査より参照・算出
最新2021年4月の段階で、コロナ前の2019年と比較し7割戻りくらいという状態。
やはり、1回目緊急事態宣言時の2020年4月~5月の下落幅は尋常ではありませんが、緊急事態が発令される前の1月~3月も既に下落傾向であるということが数値をみればわかってきます。
ちなみに、遡っていくと2019年7月から2021年3月までずっと前年同月比割れは続いていました。
気になったのは台売平均が1万円を割ってきたということ。コロナ禍となって1年以上が過ぎ、それだけ影響を受けてきたということになりますか・・・。
しかし、2021年7月7日(水)、視察込みで久しぶりに都内繁華街のパチンコ店に遊びに行ってきたのですが盛況ぶりにビックリ。
コロナ禍であるという事を感じさせないくらい街は人であふれかえり、ゾロ目(7月7日)だからということもあってか、視察したどの店舗も6割以上の稼働率でした。地域や立地によって、かなり差が出ているのではないか、と感じた次第です。
東京オリンピック開催が差し迫る中、コロナ変異株の蔓延、4回目の緊急事態宣言の発令など、ネガティブ要素はありますが、ワクチン接種が徐々に進んでいるという点、新型コロナの実態理解、ゼロコロナではなくウィズコロナへの意識変革などから、1回目の緊急事態宣言時のような極端な影響はないものと推測します。
しかしながら、以前から2極化は進んでおり台数規模の小さい店舗から閉店しているのが実情で、縮小トレンドに変わりはないでしょう。
一方で「店舗数規模の大きい法人」が生き残っていくとは限らないと感じており、実際、小が大を吸収する事例も出ています。
個人的にとっている稼働状況の定点データでも「店舗数規模の大きい法人」より、「地場に根付いて着実に展開してきた10店舗前後の法人」の方が「一定水準以上の稼働率店舗の保有率が高い≒法人総台数の稼働率が高い」というケースはよく見受けられることで、自社物件比率にもよりますが「台あたりの収益性」は後者の方が高いことが推測され、そのような法人が今後勢いを増してくるかもしれませんね。