AMラジオのFM移行でパチンコ店のCMも変わる?
パチンコ店の仕事・スキル 2021/7/6
パチンコ業界のCMは、現在テレビで見ることは少くなっていますが、地域のラジオ放送では現在でも多くのホール企業のCMを耳にすることができます。
しかし、そのラジオ放送が大きな節目を迎えています。
民放AMラジオ局は全国47局のうち44局が2028年までにFMに移行すると発表しました。
AMラジオ局が加盟する日本民間放送連盟(民放連)では、経営環境の厳しさを理由に設備・運営コストの安いFMへの一本化に向け制度改正を要望してきた経緯があり、2019年の8月に総務省の有識者会議が、民放AMラジオ局のAM放送廃止とFM放送への転換を容認する方針を示していました。
AMラジオ局は近年、広告収入が激減し、老朽化した設備の維持費も経営を圧迫しており、設備が小規模で比較的コストが掛からないFM波に移行することで生き残りを図ろうとしているのです。
1.ワイドFMとradiko(ラジコ)
こうした中、近年注目を集めているのが「ワイドFM」です。
ワイドFMは、AMラジオの難聴取対策や災害対策を目的に、AMの番組をFM波で放送するというもの。2015年に始まり、既に民放AMラジオ47社のうち44社が提供しています。
地上デジタル放送に移行した際に使用しなくなった周波数帯域の一部を使用し放送するもので、AM放送の内容をFM放送で聞くことができるという特徴があります。
そのため「FM補完放送」とも呼ばれています。
FM放送の送信所は 山頂や高台など高い位置に設置されているケースが多いので 海岸部の災害の影響を受けにくく、災害時などいざという時に送信できないというリスクも低いという利点もあります。
また、インターネットを通じてPCやスマホに全国のラジオ放送を配信するスマホアプリ「radiko」が人気を集めています。radikoはパソコンやスマホでラジオ放送が聴けるいわゆる「サイマルラジオ」アプリで、radikoには民放連加盟101局のうち93局が参加しており、全国のラジオを聴くことが可能です。
2.ラジオの聴取手段の多様化
このradikoの登場でラジオを聴取する人が増えたと言われています。
そのダウンロード数は2018、2019年で3,000万を超えており、プレミアム会員も60万超えています(出典:日本民間放送連盟)。
特にradikoのプレミアム会員(有料)になると、「エリアフリー」(放送エリア外聴取)と呼ばれる日本全国のラジオがどこでも聞けるサービスを利用でき、人気の大きな要因になっています。
この他にも、放送中の番組情報、オンエア曲の情報を表示したり、気になった楽曲をitunes、Amazon、レコチョクなどで購入することもできるなど機能も充実しています。
radiko以外にも「ラジオクラウド」「ListenRadio(リスラジ)」などラジオアプリは続々登場しており、インターネットの普及がラジオの聴取手段を多様化させているのです。
3.パチンコ店のラジオCMも再検討を
パチンコ企業のラジオCMも、こうした流れを受けて内容を再検討する必要がありそうです。
テレビCMと同様にラジオCMにも「スポンサーCM」(一定期間放送されるCM)と「スポットCM」(単発のCM)がありますが、スポンサーCMとしては地域で流す店舗情報特化タイプとは別に、音質の良いFM電波に乗せたイメージCMも効果が期待できそうです。
高音質なFM放送は企業や店舗のブランディングに効果を発揮するのではないでしょうか。
また、エリアフリーの聴取者にはスポットCMでも効果が期待でき、多エリア展開するパチンコ企業にはとても利用価値の高いものになりそうです。
費用についてもラジオ広告料は局や時間帯でバラつきはありますが、テレビCMの10分の1以下程度、地域のFM局なら千円単位の契約もあり、テレビと比較すればリーズナブルな価格となっています。
なおCM制作費は別途かかりますが、こちらもテレビなど動画制作よりも費用を抑えられるのではないでしょうか。
また、ラジオであれば、朝はビジネスパーソン、昼は主婦層、夜から深夜は学生や運転手など聴取者属性が分かり易く、アプリも属性は取りやすいですから、時間帯や番組に合わせたターゲティング層への訴求率も高いものになるはずです。
広告価値が下がったと思われているラジオですが、新しい放送手段によってその価値が見直されるかもしれません。
新たなブランディング手法として試したり、既にラジオCMを展開している企業であれば、内容や放送時間などを再検討してみてはいかがでしょうか。