求人票に記載される「交通費」について
転職雑記 2023/12/19
通勤や仕事上で「交通費」が発生した場合、会社から支給を受けることが一般的ですが、交通費について詳細を把握している人はあまりいないようです。
ほとんどは通勤の定期代や相手先企業への電車代の清算イメージではないでしょうか。
しかし、この交通費、実は意外に複雑なのです・・・。
ということで、今回は交通費の詳細について確認したいと思います。
1.交通費は2種類
会社が支払う交通費には、「通勤交通費」(通勤手当)と「旅費交通費」(出張費)の2種類があります。
①通勤交通費
「通勤手当」とも言われる通勤交通費は、「社員が通勤する際にかかる交通費」です。
鉄道、バスなどのほか、マイカーのガソリン代なども通勤交通費にあたります。
しかし、実は通勤交通費は会社に支払いの法的義務がありません。支給しなくても法的に問題はないのです。
とは言え、一般的には多くの企業で支払われており、会社の福利厚生の一環と捉えると分かりやすいでしょう。
就業規則や雇用契約書などで通勤交通費支給が明文化されている場合は支給されるはずです。
【通勤交通費に該当するもの】
電車、バス、タクシー代、高速料金、その他有料道路、定期券、回数券など
②旅費交通費
「出張費」とも言われる旅費交通費は、社員の営業活動や出張時の交通費などを指し、社員に実費支給されるものです。
通勤交通費と違い、旅費交通費は会社に支払義務があります。
【旅費交通費に該当するもの】
出張中の交通費全般(電車、バス、タクシー、航空運賃、空港使用料、高速道路などの有料道路、ガソリン、レンタカー、定期券、回数券、コインパーキングなど)、日当(出張手当)、宿泊費(ホテル代など)、仮払い出張費、食事代など
2.通勤交通費の非課税限度額
「通勤交通費」は、給与と異なり所得税が課税されません。
ただし、通勤交通費の非課税額には上限があり、非課税限度額を超えた場合は課税対象となります。
一方、「旅費交通費」については、基本的に全額非課税です。
ただし、出張旅費規程を逸脱した高額な出張費は課税対象になる場合があります。
【非課税限度額】
①公共交通機関を利用
月額15万円まで
鉄道やバス、またはその組み合わせで通勤しているケースがほとんどでしょう。多く場合は「定期代」として支給されています。
②自家用車、バイクのみ使用
2キロメートル未満 全額課税
2キロメートル以上10キロメートル未満 4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7,100
15キロメートル以上25キロメートル未満 12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 28,000円
55キロメートル以上 31,600円
(※全て月額)
ガソリン代は日々変動するため、多くの場合は社内規程で「1kmあたり10~15円」などと支給額が定められています。
③公共交通機関と自家用車などの併用
経済的かつ合理的であれば、公共交通機関と自家用車などの併用も可能です。非課税限度額は各非課税額の合計となります(最大15万円)。
3.通勤交通費の支給方法
会社は交通費の法的な支払い義務はありませんが、一般的には多くの企業で支払われているのが実情です。
そのため、支払いにおけるルールを就業規則などで定めている企業がほとんどです。具体的な通勤交通費の支給方法は3通りがあります。
①全額支給
社員の通勤費を全額支給します。
全額支給を謳う会社は多いですが、上限があることがほとんどのため、実際のところは全額支給する会社は少ないと言えます。
②一律支給
社員の通勤費について一定額の費用を企業が支給します。
③規定内支給(一部支給)
会社が定めた規定によって従業員に交通費が支給します。
一部支給と言う場合もあります。
現実的には②③がほとんどと言っていいでしょう。会社が支給する「交通費の範囲で通勤できる人を採用している」ので全額支給のように見えるのです。
4.適正な支給額を確認しよう
このように、「交通費」には「通勤交通費」(通勤手当)と「旅費交通費」(出張費)の2種類があり、それぞれ細かい規定が設けられていることが一般的です。
ご自身が受け取っている、あるいは受け取る予定のある交通費については、会社の規定内容を確認して、損の無い形で支給を受けるようにしましょう。