転職時における資本金の見方
転職雑記 2024/1/16
企業ホームページなど見る際によく目にする「資本金」。
皆さんはこの資本金の詳細についてご存じでしょうか。
資本金の意味を把握しておくことで分かる情報はたくさんあります。
会社の規模だけでなく、資金調達、株主との関係なども理解できます。
今回は、企業研究に欠かせない「資本金」の意味や読み取れる情報について確認したいと思います。
1.資本金の定義
日本の会社では、「資本金」は会計上「株主資本」と呼ばれ、貸借対照表(バランスシート)の純資産の部のうち「株主資本」を構成するものとされています。
資本金の額は、基本的には会社設立や募集株式の発行の際に株主となる者(個人、法人)が会社に払込み又は給付をした財産の額や、会社の経営によって生み出された余剰金から構成されます。
2.会社の体力や信用を表すが・・・
一般的には、資本金が大きいほど信用度が高まります。実際、初めて取引をする会社の与信確認や金融機関から融資を受ける際に、資本金をチェックされます。
資本金が大きければ安定した経営を行っていると判断され、小さければ事業を運営するお金が少ない、返済能力が低いなどとみなされる可能性があるのです。
総務省・経済産業省の「令和3年経済センサス‐活動調査」(公開:令和5年6月27日)データによると、資本金1,000万円未満が約6割、1,000~3,000万円未満の会社は約3割ということで、億単位の資本金を持つ企業は極一部の企業だけとなっています。
しかし、現在は資本金が多い会社が良いとは限りません。
その理由は大きく2つあります。
①資本金1円企業
新会社法施行以前は株式会社なら資本金1,000万円以上、有限会社なら資本金300万円以上が必要で、一般的な資本金の目安は、「利益が出るまでの数ヶ月間事業継続できる金額」と言われていました。
しかし、2006年5月1日に施行された新会社法により最低資本金制度がなくなり、資本金1円から起業できる(ただし、会社設立には手数料や登録税などを含め少なくとも数十万はかかる)ようになり、成功例も出ています。
②コロナ禍でビジネスモデルが崩壊
新型コロナウイルスの影響で、2020年以降、企業経営が先行き不透明になる事例が多発しました。
コロナ感染症の蔓延は社会生活や構造までを変化させ、「今までのビジネスモデルが通用しなくなった」ことが伺えます。
3.資本金から分かること
資本金が多い場合、会社としての信頼性が高まり、さまざまなメリットが生まれます。主なメリットを挙げてみましょう。
①融資を受けやすくなる
資本金が大きいことによるメリットとして、まず融資を受けやすくなる点が挙げられます。
資本金が大きい会社は資金力が高いという評価を得やすくなります。つまり、「信用度」が高く評価されます。
金融機関は融資にあたって会社の返済能力を見ますが、資本金が大きければ返済能力も十分に有していると判断されやすくなるようです。
②事業拡大がしやすくなる
事業拡大がしやすくなる点も、資本金を多く設定するメリットのひとつです。
資本金の大きさは、会社が運転資金として使えるお金の大きさを表します。
事業を拡大しようとした時にはまとまったお金が必要となりますが、資本金が大きいほどスムーズに進みやすいといえるでしょう。
③新規取引が有利に
新規取引にあたっては、相手会社の資本金を確認する会社もありますから、資本金の小ささが理由で信頼を得られず新規取引に至らない場合もあります。
取引先からの信頼を獲得しやすくするために、資本金を多く設定するケースもるようです。
4.転職時に見る「資本金」は参考程度に
求人票に記載されている資本金額は「会社の規模感や信頼度がある程度読み取れる」といえるでしょう。
ただし、資本金の額が大きいからといって必ずしも経営的に会社が安定しているとは言えません。
企業の公開しているIR情報を確認したり、同業他社の資本金もチェックしたり、違う角度からも企業研究をするのがオススメです。
コロナ禍以降、会社の経営環境は先が見えない状況になっています。
転職活動で企業研究を進める際は、資本金だけではなく、事業成長率、売上高や利益率などもきちんと調べることが大切といえるでしょう。